英ポンド/円相場は、2月26日の137.84円をボトムに足元では143円台前半前半まで切り返す展開になっている。英追加緩和見通しは根強く残っており、実際に対ドルではポンド安傾向が持続している。ただ、ポンド/円市場に関しては円サイドからのポンド高・円安圧力が継続しており、戻り高値を更新している。
3月7日にはイングランド銀行(英中央銀行)金融政策決定会合(MPC)が開催されたが、資産買い取りプログラムの規模は3,750億ポンドで据え置きとなった。前月の会合ではキング総裁を含む3人が資産購入の拡大を主張していたことが確認されているが、今月も追加緩和派は多数派を占めることに失敗している。ただ、20日に発表される議事録では、改めて追加緩和を巡る議論が活発化していることが活発化していたことが確認される可能性が高く、ポンドサイドからポンド/円を買い進む材料は乏しい状態が続く見通し。1月の英鉱工業生産も前月比-1.2%と大きく落ち込んでいる。北海油田で石油プラットフォームが操業停止するといった一時的要因の影響も大きいが、製造業生産高も-1.5%と大きく落ち込んでおり、1~3月期が再びマイナス成長になるとの懸念も根強い。
ただ、ドル/円相場の堅調地合が維持される中、ポンド/円相場の下落余地は限定されよう。日銀正副総裁人事案は14日に衆議院、15日に参議院に採決されるが、自民党案がそのまま承認される見通し。黒田時期総裁候補は、来月4日の定例会合を待たずに追加緩和に踏み切るとの観測も浮上する中、少なくとも円は積極的に買いづらい地合が続く見通し。基本的には横ばい気味の相場展開を想定しているが、MPC議事録を受けてポンド売りが進む場面が見られるのであれば、改めてポンド買い・円売りを仕掛ける好機になるとみている。
今後1週間の予想レンジは、141.50~145.00円。